舞踏ニューアーカイヴ展

2021年8月3日(火)~15日(日)

月~金|14:00-20:00、 土|13:00-21:00、 日|11:00-18:00

BUoY 地下スペース東京都足立区千住仲町49-11

入場無料

日時指定事前予約制(1時間毎に入替/ 各回定員20名)

展覧会は終了しました


予告映像

舞踏家ビショップ山田、緒環毘沙が展示の中で特別パォーマンス
8月10日[火] 19:00
展示入場のご予約でご観覧頂けます。

※チラシ等で、18時の回での特別パフォーマンスをご案内しておりましたが、都合により19時の回のみとさせて頂きます。お詫びして、訂正します。たいへんもうしわけありません。


ビショップ山田|Bishop Yamada

1948年東京に生まれる。1968年から土方巽作品にダンサーとして出演する。 1972年麿赤兒らと共に舞踏集団大駱駝艦を結成する。1974年大駱駝艦を脱退後、1975年北方舞踏派結成記念公演「塩首」を山形県鶴岡市の舞踏塾グランカメリオで上演、高い評価を得た。1976年北海道小樽市に移り、シアター海猫屋を開設。1998年には、キエフのウクライナ国立歌劇場にて、キエフバレエ団のバレエダンサーを振付、「暗黒の翼」を上演、同年東京芸術劇場で同作をリメイクし「オデットに夜の扉を」として上演した。2017年山梨県甲斐市に、上福沢舞踏宿ソコミを設立した。

Photo by 小杉朋子

緒環毘沙|Bisha Otamaki

1977年ビショップ山田に師事。以降、北方舞踏派及び鈴蘭党の全作品に出演。                                






○ 鷹野隆大『RED & GREEN』

“消えゆく身体をアーカイヴする”

現代日本を代表する写真家、鷹野隆大による新作映像作品です。
写真家としての視点から映像をどう使うか、そして、身体をどのように映像の中で扱うか、ということに興味を持ち、映像作品企画『RED & GREEN』をスタートしました。今回は、石井則仁、石本華江、岩渕貞太、上杉満代、小林嵯峨、鈴木ユキオ、蝉丸、武内靖彦、向雲太郎、吉本大輔、当代を代表する舞踏家たちとのコラボレーションです。
この作品では、壁一面に蓄光塗料が塗られた空間に、真紅の照明が焚かれ、その中で舞踏家は佇んだり、踊ったりという静かな、しかし個性的な動きを繰り返します。そこで強いストロボが発光すると、舞踏家の影が蓄光の壁に定着され、影だけが残されます。舞踏家が立ち去った後、蓄光の緑と舞踏家の黒い影だけが残り、その影もやがて数分ほどで静かに消滅します。赤と緑の光の時間軸の中で肉体の幻影が明滅する、静かな映像作品です。写真が生まれる瞬間に立ち会うかのような体験を作り出し、「消えゆく身体のアーカイヴ」というダンスアーカイヴの根本的な問いを投げかけます。

コンセプト・撮影・ディレクション:鷹野隆大
キュレーション : 飯名尚人
出演:石井則仁、石本華江、岩渕貞太、上杉満代、小林嵯峨、鈴木ユキオ、蝉丸、武内靖彦、向雲太郎、吉本大輔 (50音順)
機材提供:ソニーマーケティング株式会社
協力:Yumiko Chiba Associates
機材協力:BankART1929

鷹野隆大|Ryudai Takano

写真家。1963年生まれ。女か男か、ホモかヘテロかといった二項対立の狭間にある曖昧なものの可視化を試みた作品集『IN MY ROOM』で、2006年に木村伊兵衛写真賞を受賞。他に同テーマをポルノグラフィカルな形式で探求した『男の乗り方』、日本特有の都市空間を集めた『カスババ』など、写真作品を通して制度化された視覚の外側を模索し続けている。 今年6月29日から9月23日まで、大阪の国立国際美術館で『毎日写真/1999-2021』と題し、本格的な個展を開催する。

舞踏家

Photo by 中里吉秀

石井則仁|Norihito Ishii

振付家 / 舞踏家 / DEVIATE.CO芸術監督。ストリートダンス・コンテンポラリーダンスを経て、2010年 世界45カ国のべ700都市以上で公演をしている舞踏カンパニー山海塾に在籍し、自身の活動も含め27カ国75都市以上で公演を行う。2021年、元バレエダンサーの草刈民代が芸術監督を務めた「CHAIN of INFINITY」公演に振付家として参加。舞踏の新しい一面を提示すると共に多大な評価を得る。http://norihitoishii.com/index.html

Photo by Sasha Drozd

石本華江|Kae Ishimoto

代々日本舞踊を嗜む一家に生まれるが、4歳にてダンスを志望。02年より舞踏家和栗由紀夫に出会い、以来全作品に関わる。03年より、Co.山田うんのメンバーとして活動に参加。近年土方巽の作舞法「舞踏譜」を現在に伝えるために研究会POHRCを日英にて7カ年に渡り主催し、また自身も講師として香港、バリ、メキシコなど13カ国に招聘される。ソロ作品も含め、アジアやヨーロッパを中心に21ヶ国で上演を行った。現在、慶應義塾大学アート・センターにて土方巽アーカイヴを担当している。

photo by 野村佐紀子

岩渕貞太|Teita Iwabuchi

振付家・ダンサー。舞踏や武術、生物学・脳科学等のリサーチから、身体表現メソッド「網状身体」を開発、それを根幹に作品を創造。2007-2015年、故・室伏鴻の舞踏公演に出演。舞踏が世界を先導する財産であると確信し、再解釈を重ねながらダンスの革新を目指す。カラダの内臓はココロの根源であり、鼓動、呼吸、音声はその表れ、それこそダンスと考えている。

Photo by 高松真樹子

上杉満代|Mitsuyo Uesugi

舞踏家。1970年より舞踏家大野一雄氏に師事。1975年舞踏ソロ公演「紅蓮夜曲」にて極私的舞踏空間の追求を始める。他者との出会いの作業として演劇又仏ダンサー、音楽家との公演に参加。2020年上杉満代舞踏公演「迷宮伝説」2021年ASIA TRI.Japan Special 2021 at シアターX「即興.即響.触境」参加。「ベイビーメランコリア-夢六夜」にて2009年舞踊批評家協会賞受賞。

Photo by 小杉朋子

小林嵯峨|Saga Kobayashi

1946年三重県生まれ 1969年から75年まで土方巽燔犠大踏鑑に在籍。主力メンバーとして全ての土方作品に出演。アートシアター新宿文化「四季のための二十七晩」、西武劇場「静かな家・前后編」など。その後独立<彗星倶楽部>を結成。1983年土方巽の招きによりJapan Festival に参加。ヨーロッパ六か国を巡演。1995年より舞踏AURAシリーズを開始。無意識の領域を探求する。1998年小林嵯峨+鵟NOSURIを結成。

Photo by DaidoHiroyasu

鈴木ユキオ|Yukio Suzuki

「YUKIO SUZUKI projects」代表/振付家・ダンサー。世界40都市を超える地域で活動を展開し、しなやかで繊細に、空間からはみだすような強靭な身体・ダンスは、多くの観客を魅了している。また、音楽家との共同制作やワークショップ、モデルや映像作品への出演など、活動は多岐に渡る。‘08年にトヨタコレオグラフィーアワードで「次代を担う振付家賞(グランプリ)」受賞。'12年フランス・パリ市立劇場「Danse Elargie」では10組のファイナリストに選ばれた。www.suzu3.com/

蟬丸|Semimaru

1975年山海塾創立メンバー。1985年ソロ活動開始、作品「御伽草子」。1987年蟬丸夏期集中舞踏合宿を開始、毎年異なる場所で開催する。1990年黒藤院旗揚げ公演「鳥獣戯画」東京浅草常磐座。1999年富山県黒部川流域にアトリエを構え毎夏、舞踏合宿と発表会を行う。野外やフリースペースなど劇場以外の公演が多く、場所や物を感じながら作品を創り出し、それを「磁場との対話」と呼ぶ。

武内靖彦|Yasuhiko Takeuchi

1968年、土方巽「肉体の叛乱」を観る。1971年 「単独処女舞踏会」(高円寺会館/現 座・高円寺)より独舞踏自主公演を開始。1973年、大野一雄氏に師事。1992年、第23回舞踊批評家協会賞を師 大野一雄と同時受賞。これまでに数多くの独舞踏自公演を意欲的に行う。シリーズ「光と闇の教室」「重力の都」「素型原寸 考」「パンドラの柳行李」など。プロデュース企画などへのソロ出品多数。2011年10月、踏業40周年記念独舞「舞踏よりの召喚」(座・高円寺1)。2021年、踏業50周年記念独舞「衰微象」企画(コロナによる延期)

photo by bozzo

向雲太郎|Kumotaro Mukai

1994年大駱駝艦に入団、麿赤兒に師事。'12年退団独立。’01年より振付・演出作品の発表を開始。これまでに20作品を発表、国内11ヶ所のほか、海外5カ国11ヶ所で作品を上演。’14年舞踏家集団“デュ社”を旗揚げ。’13年~’16年セゾン文化財団 シニアフェローシップ。‘18年より拠点を関西に移転。また日本国内はもとより世界各地でからだへの様々なアプローチを試みるワークショップをおこなっている。

Photo by 鬼海弘雄

吉本大輔|Daisuke Yoshimoto

日本大学芸術学部演劇学科で舞台美術を専攻。舞踏の創始者大野一雄の名作『ラ・アルヘンチーナ頌』『わたしのお母さん』等の舞台監督を経て、1981年より舞踏家としての自身の活動を開始。07年に舞踏カンパニー天空揺籃を設立、国内外で精力的に活動を展開する。なかでもポーランドを代表する演出家グロトフスキの研究所との関わりはとりわけ深く、同国での舞踏波及の契機を作った。






○ 飯名尚人『三』

“三面疑似ホログラムでアーカイヴする”

舞踏の誕生に深く関わった3人の舞踏家——土方巽、大野一雄、大野慶人の代表作を現代のダンサーが完全コピーします。踊り手は川村美紀子、川口隆夫、松岡大。舞踏の精神に現代の手法で鋭く反応する、当代きっての3人です。川村が土方巽の『疱瘡譚』(1972)、川口が大野一雄の『ラ・アルヘンチーナ頌』(1977)、松岡が大野慶人の『土方三章』(1985)を厳密に再現します。3人のパフォーマンスを三方向から同時に記録した映像を使い、三面擬似ホログラムの映像インスタレーションを制作しました。このパフォーマンスを旧博物館動物園駅で行った模様はTRUオンライン内で同名のタイトルで配信中です。
疑似ホログラムの元になる映像は、正面、右、左の3方向からダンサーの踊りを撮影した映像を合成したものです。ダンサーの踊りの重心や足の位置を3方向から記録する映像とその合成映像を再生する疑似ホログラムは、立体的に踊りを記録し、再生することができ、より精細な動きのアーカイヴを可能にしています。

ディレクション : 飯名尚人
出演:川口隆夫、川村美紀子、松岡大
撮影編集:吉田尚弘、河村衣里、飯名尚人

飯名尚人|naoto iina

映像作家・演出家・ドラマトゥルク・映像セノグラファー・プロデューサー。Dance and Media Japan主宰、国際ダンス映画祭主宰。東京造形大学准教授、座・高円寺劇場創造アカデミー講師 。映像・身体・言葉を用いてジャンル横断的作品を手掛ける。オンライン舞踏番組「Re-Butoooh(リ・ブトー)」(NPO法人ダンスアーカイヴ構想)では、演出・構成・撮影・編集を担当している。






○ 石原葉『舞踏出来事ロジー・天井画』

“舞踏を出来事としてアーカイヴする”

TRUエキシビションとしてオンラインで展示中の作品「舞踏出来事ロジー」は、舞踏が様々な領域で活躍してきたことを「出来事」として年表にしています。この「舞踏出来事ロジー」に挿入された石原のイラストは写真や映像資料から得た「印象」を核にして描かれています。本展では、この年表に使われた人の心に残る「記憶」や「印象」を伝えるイラスト49点を一堂に集めて、天井画として展示します。

イラスト : 石原葉
キュレーション : 飯名尚人

石原葉|Yo Ishihara

美術家。1988年生まれ。2020年東北芸術工科大学大学院芸術工学専攻博士課程修了。「あなたたち」と「わたしたち」「あなた」と「わたし」の間に引かれる目に見えない境界、無自覚なフィルターをテーマとして絵画制作を行っている。直近の活動として、2020年靖山画廊にて5月にオンライン、8月に同画廊にて個展「Who」を開催。ほか展覧会多数。また一方で集団による制作、活動も継続的に行っている。

BUTOHスナック TRUエキシビション編

ゲストを招いての生配信トークで、各作品の背景や見どころ、知ればさらに楽しめるポイントなどをご紹介します。
その傍らで、日本を代表する舞踏家が「動く彫刻」として佇む「舞踏家展示」を行います。


7月3日(土)19:30〜8月15日(日)

鷹野隆大 × 飯名尚人 × 溝端俊夫 × 小林嵯峨